5月31日清真学園WS発表会「わたしたちはよるがこわい」
茨城県の清真学園中高演劇部。
顧問の先生にお声がけいただいて、大会のない時期に月一回ほどWSをしていました。
WSでできた作品がいくつかあるので、3年生の引退式の日に発表会を行うことに。
テキストはシェイクスピアの『夏の夜の夢』。わたしも少し書きました。
振付は入手杏奈さん。「こわいもの」と言うテーマで、踊りなれてなくてもそれぞれの身体で考えて作っていける、しかもかっこいい、そんな踊りを振り付けてくれました。
あと現場で相談できる人がいるのがとてもありがたかった。
作品の中には、縄跳びとか、部活でいつもやっていると言うクレッシェンドというワークなども入れ込みました。もちろん生徒の皆さんが創作したシーンも。
窓の外のグリーンがきれいなので、窓は暗幕をしないでそのまま使いました。
○生徒創作 その1
お題「こわいものをみんなで言い合って、班に別れて演じてみる」
○生徒たちの作った作品
- 大学生になって一人暮らし。最近、部屋においていたものの位置が変わると思っていたら、家にこわい人が潜んでいた。
- 進路についての面談。医学部の志望校にぜんぜん届いてないことを親に知られ、怒られる。推薦が決まった友人は明るくカラオケに誘ってくる。
- 学食で派手な感じのグループの子に「一緒に食べよう」と声をかけられる。思わず一緒にいた友達を置いて、そのグループに混じってしまう。
○生徒創作 その2
お題「そのこわいものを、どうするとこわくなくなるか班で考えて演じてみる」
○生徒たちの作った作品
- 相談してた友だちが不審に思って警察に連絡してくれる。隣に潜んでいた人が警察だった!
- 面談で親に、医者ではなく絵本作家になりたいことを伝える。スッキリした気分で、友達ともカラオケに行く。
- 派手な感じのグループに「友だちと一緒に食べるからいい」と断る。「そんな子、別にいいじゃん」と言われたら「わたしの友達の悪口言わないで」と言う。
○テキスト
シーンをいくつか書いておきます。
- こんにちは、人間の皆さん。本日はご来場くださいましてありがとうございます。突然ですが、この世で一番怖い状況ってどんなものだと思いますか? わたしは、暗い夜道で、誰かが包丁とか刃物を持って、誰でもいいから殺そうとしていたら、怖いなってよく考えます。なんでそんなことするんだろう。東京に行って、一人暮らしして、そんな人に出会ってしまったらどうしよう。人間って怖いなって、考えます。
人間には、わたしでは想像が及ばないような、暗い暗い夜のような部分があるのかもしれません。それはわたしの手のひらに、足の裏に、あるいは背中に、ぴたりと張り付いて、わたしを見ているのかもしれません。わたしはその、夜が怖い。 - これから、私たち中学生が考えるすごく怖いシーンをやります。
コンクリに猫が埋まっちゃった!
映画の特典が売り切れてた!
知らない人のこと「お母さん」って呼んじゃった!
こんなことが怖いくらい、わたしたちには怖いことがありません。わたしの手のひらにも、足の裏にも、背中にも、まだぺったりお日様が張り付いていて、わたしたちには、個人差はあるんでしょうけど、暗い暗い夜はまだ遠くて、怖がることもできません。
- それでも、わたしたちは夜がこわい。
なんでこんなに勉強しないといけないのか
怖い人が大抵男の人なのはなぜなのか
仲よかった子といつまでも仲良くいられないのはなんでだろうか
社会の中で自分がどうなるのか怖いし
男の子が男の人になるのも自分が女の人になるのも怖いし
好きだった子のことを嫌いになったり、私が変わっていく「変化」そのものが
怖い。
それでもこの暗い暗い夜を
背中にぺったり張り付いた夜を
知ってみようとか、噛んで味わってどうにか飲み込んでみようとか
生きてどうにかしてみようと思うのは、
この世界の周りの人が好きだからで
嫌いが好きを上回らない以上、
わたしはこの夜を、どんなめちゃくちゃな方法でも「大丈夫」にして、
わたしばっかりが我慢するんじゃない方向に「大丈夫」にして
時々休みながら、できれば楽しみながら、「大丈夫」にすることを考えていく。って本当にそれしかないのかなぁ。
よくみると反射でわたしが写ってます。